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PC-9801

はじめてのMS-DOS

CP/M-86を使った開発環境は、
BASICモニタを使った環境よりも、格段に快適だった。
しかし、なにせ回りくどい。
そこで、ある日、一発奮起、CP/M-86動作する
スクリーンエディタを買おうと秋葉原に出かけていった。

CP/M-86で動作するWordStarを買おうとする私に、
店員さんはけったいなものを勧めたのだ。MS-DOSである。
今なら、スクリーンエディタと連文節変換の出来るカナ漢字変換
(FEP=フロントエンドプロセッサと称していた)までついて、
CP/M-86のWordStarとほぼ同じ値段。
「MS-DOSはIBM-PCにも採用された。
これからは、MS-DOSの時代だ。」
そんなことを言いながら、実に熱心に勧めるのである。

私は、PCやOSが売れる/売れないはソフトの蓄積要因が大きいし、
そんなに簡単にCP/M-86が負けるとは思っていなかった。
でも、付属のスクリーンエディタも使いやすそうだった
("RED"というエディタだった)し、カナ漢字変換が優秀なら、
ワープロ替りにも使えるかも…などと思いながら、
WordStarを諦め、MS-DOSを購入してしまった。
バージョン2.11だった。


MS-DOS ver3.1システムディスク(8"FD)
残念なことにver2.11の媒体は捨ててしまった

購入してすぐにやった事は、当然、MS-DOSのディスク解析。
MS-DOS→N88-BASICへのデータ転送ソフトの作成だ。
今度はMS-DOS用のスクリーンエディタがあるから、
片方向で十分。
"RED"の使い心地もGoodだった。
更に、すばらしかったのはカナ漢字変換。初代VJEである。

かなかんじへんかんができます。[変換]
カナ漢字変換が出来ます。

一発で変換してくれる。驚きの瞬間だった。
それ以前、N88-BASICに付属のカナ漢字変換は文節変換。
文節後とに区切って入力しなければならなかった。前の例でいえば、

かなかんじ[変換]へんかんが[変換]できます。[変換]

てな具合だ。以降、私は誰がなんと言おうと、VJE派だった。
VJE-α/VJE-β/VJE-δ/最終版のVJE-DELTAまで使っていたが、
遂に、販売中止になってしまった。
それ以降は、やむなくMS-IMEであるが、VJEに比べると変換精度は劣悪極まりない…

さて、MS-DOSは、私の予想に反して、快進撃を始めた。
確かに、CP/M-86に比べて優れた部分もあったし、
当時のPCの主な開発言語だったBASICを
MSが握っていたということも影響したかも知れない。
しかし、本当の理由は、この当時、IBMがコンピュータに対して
絶対的な影響力を持っていた為に、"IBM"というブランドの方が、
CP/M-86のわずかなソフトの蓄積などより
圧倒的に強かった結果ではないだろうか。
ブランドがソフトの蓄積に勝った、
コンピュータの歴史にはまれに見る出来事だったと思う。

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